「意識高い」お勉強記事がイタイ
こんにちは。
「脳を活性化する○○の習慣」
とか,
「一日〇分でできるトレーニング」
とか,いった,「ちょっと意識高いお勉強系」の記事。ネットでも週刊誌でもよく見ますよね。「独学の技術」をうたった本も,巷にたくさんあふれていて,勉強熱心な( ゚Д゚)私などは見事にそういった文句につられて見入ってしまいます。
また,「グローバル」「SDGs」「AI」「問題解決」とかいった言葉が,教育業界の界隈にごろごろと紛れ込んできて,これまた「意識高い」保護者の関心を引き付けているのがこの10年くらいのトレンドではないかと感じています。
それはそれでいいのですが。
そんな記事(特にネット)を眺めているうちに,こんなことを感じ始めました。
「この『煽り』,なんか妙じゃないか?」
当然読まれてなんぼの文章なので,読者の気を引くためのあれやこれやの技法が駆使されているのは私などでもわかります。
でも,それらの記事がどういった人たちを対象にしているのか,を考えてみたときに,ちょっと違和感を覚えてしまったのです。
もちろん個人的な感想なので,事実誤認や勘違いがあろうかとは思います。なんだか目新しいものに目くじら立てて文句つけるような野暮な真似をするつもりではありません。そんなことを前提としてお付き合いいただければ幸いです。
1.プアなエヴィデンス
冒頭に挙げた,
「脳を活性化する○○の習慣」「一日〇分でできるトレーニング」
みたいな記事ですが,言ってしまえば「生き物としての人間にとってベターな(勉強)方法」を紹介する,といった内容であることが多いと思います。
気合とか根性抜きで,「科学的に根拠がある方法」として,効率的・効果的な方法を紹介してくれているわけですね。
だから,こういった読んでみると,脳科学であったり,心理学,行動科学,生物学など,それっぽい学問での研究成果が挙げられていたりするんですけれど。
ただ,実はそれって,
記事を監修しているある学者の意見
でしかないことがままあります。
アカデミックなエヴィデンスを挙げることによって,さもこれまでの「旧態依然の間違った方法」に代わる「スマートでクールなメソッド」であることを装うのですが,どうもよく見てみると,「著書多数でメディア露出も盛んな有名な先生がこうおっしゃっている(それも雑誌記事)」でしかない。
数年前,教育にもエヴィデンスベーストの考えを,とうたった本がベストセラーになったことがありましたが(この本はためになりました),我々じたいも「言われていることの根拠は何か」を意識するリテラシーを持っておきたいものです。
2.保護者を追い詰める
「○○できる子は日ごろから○○していた!」とか
「子どもの○○は〇歳までに決まる」みたいな記事,
私も子どもを持つようになって気になったりしているのですが,
正直,読んだ後に自らの無力感を感じる次第です。
そりゃそうです。
「そんなこと,できればそうしたいと思ってるさ!」
「〇歳までって,いまさら言われても!」
って思いますよね。
いや,教育熱心な保護者の方々は,自分自身の生活の余裕を極限まで削って子どものために良かれと思うことをすべき,とお考えでしょう。ごもっともです。
けど,日本人の平均年収が400万円そこそこの時代に,まずは生活を防衛することで手一杯な人々はたくさんあるわけで,そもそも子どもをとりあえず健康に過ごさせるだけでも立派なことだと思うのです。
やみくもに焦って,付け焼刃で何かをする必要はないと思います(大体,こういう記事で紹介されている事例も,『環境づくり』=継続的な働きかけをうたっているわけで)。
だから,もちろんそういう環境づくりができるご家庭は,ぜひやってみればよろしい。でも,無理しなくてもいいと思うんです。かえって,子どもに対しての「意識高さ」をひけらかすような保護者は・・・アレですよね。
3.おわりに
あれこれ文句つけてますが,そうはいっても私自身はこういった記事を「ふーん」とか「へええ」とか言いつつ,参考にはしています。教育「産業」がどんなところを狙っているのかを眺めるのも(仕事半分ではありますが)面白がってみている次第です。
ほどほどに越したことはないですね。
ではまた。