ゆでガエルはゆだりながら日記

ゆだりきったら左様なら。

ここ数年のTBSラジオ。

昔から、ラジオといえばTBSだ。

人によっても違うのかもしれないけれど、家や職場でラジオをかけている場合、あんまりいろんな局を行ったり来たりすることはないのではないか。テレビと違ってダイヤルを合わせる手間を考えると基本的に固定になりやすい気がする(今どきはプリセットチャンネルの設定ができるのもあるけれど)。

朝一番からかけているから、各番組のコーナーを聞いていれば、時計を見なくても大体何時かはわかるくらいだ。朝、テレビを見ている人も多いと思うが、視線を奪われないから朝の身支度に影響がなくて済むのが便利だと思っている。

 

休日も、個人的にあまりテレビを見なくなっているから、ラジオを聴いている。そんなわけで、ここ数年のTBSラジオの変わりっぷりが気になってしょうがないのである。

まず、致し方ない理由があるとはいえ、お気に入りの長寿番組のいくつかがなくなった。

荒川強啓デイキャッチ(平日午後)

永六輔の土曜ワイドラジオTOKYO・永六輔、その新世界(土曜の午前中)

大沢悠里のゆうゆうワイド(平日朝~昼)

伊集院光とらじおと。(平日朝~昼)

久米宏ラジオなんですけど(土曜の午後)

赤江珠緒たまむすび(平日午後)

 

荒川強啓の番組は、一説によれば辛辣な政権批判がたたって打ち切りとなった、という風にも聞く。現在では荻上チキの夜のニュース番組が昼に移ってきて報道をやっている。

永六輔に関しては、ご本人がなくなられてしまったからしょうがない。晩年はパーキンソン病に悩まされたのは周知のとおりで、そのせいなのかわからないけれど番組中にも涙ぐんでしまう場面がままあった。その際の外山惠理のなぐさめるような、はげますような対応は今思い出しても素晴らしいものだったと思う。後番組はナイツが受け持っている。

大沢悠里の番組も、大沢が高齢を理由に毎朝の出演から身を引いたことで幕となった。もっとも大沢悠里自体はラジオに対する意欲を依然強く持っており、毒蝮三太夫と一緒んポッドキャスト番組(大沢悠里のGG放談)を始めている。後継は伊集院光

久米宏の番組に関しても、高齢を理由としたものだった。最終回にはゲストに伊集院光が呼ばれていたが、ラジオに信念をもって取り組んできた両者の話だけに、なんだかぐっと来た思い出がある。後継はバービーの番組だったが、これも2022年3月で終了となっている。

赤江珠緒のたまむすびも、10年続いたロングラン番組となった。番組10周年を記念して武道館で行われたライブイベントも大盛況となるなど、人気番組であったし個人的にも平日の休みの日には楽しみにしていたのだが、赤江の「育児に専念したい」という希望から2023年3月で終了。4月からは石山蓮華という人の「こねくと」という番組が始まっている。

 

さて、こうしてみてみると、それぞれの番組が終了した理由はたいてい筋の通ったものに見える。伊集院光の番組以外は。伊集院光も、大沢悠里の後を受けるということで並々ならぬ思いをもって番組受けたのだろうと思うが、突然降ってわいたパワハラ疑惑のせいで、番組を降板する決断をすることになった。おちゃらけるところはおちゃらけるけれど、ニュースのコーナーでは伊集院なりの冷静なコメントを述べるなど、バランスの取れた優れた番組だったと思うだけに終了はいまだに悔やまれる。なお、後継にはパンサー向井の「ふらっと」という番組が始まっているが、スタートから1年以上経つけれどいまだに慣れない。

文春あたりが伝えるところによると、伊集院の番組が終わった理由はTBSラジオの現体制にもあるということである。今の社長はJ-WAVEから移ってきた人で、この人が社長になってから、TBSラジオでは野球中継をやめたり、聴取率週間をやめたり、それまでラジオ放送では当たり前のことを改めるなど、やり手の社長のようである。が、番組編成に関しても新しいリスナー獲得のためか、それまでのAMらしい雰囲気を変えているような節がある。伊集院とはそりが合わなかったとしても無理はない気がする。

 

大沢悠里とか毒蝮三太夫とか、80過ぎの人々に頼り続けるわけにもいかないのだろうけど、耳慣れた、うるさすぎないラジオからは遠ざかろうとしているTBSラジオ久米宏の番組が終わってからの土曜午後なぞはなかなか厳しいものがある。数少ない希望は朝の生島ヒロシ森本毅郎くらいか。

おじさんのぼやきである。

 

※なお、そんな中で聞く人間を選ぶような渋い番組もある。「東京閾値(しきいち)」という日曜夕方の番組で、ディレクターのような人が東京のコアな部分に長けている人にインタビューする内容である。初回は玉袋筋太郎が語る昔の新宿、次に外山惠理の振り返る向島の風景、さらにはなぎら健壱の「下町」定義談義など、派手さはないが滋味あふれるような回があったりしたが、一方である時にはこのディレクターが大井町界隈をうろうろするだけの回など、だれが面白がるのか不思議な時もあった。しかもこのディレクターの声がなんとなく地味なので、先日は玉ノ井親方(元・栃東)にかつての薄暗い西新井について聞く回だったのだが、内容も相まって深夜放送のようにも聞こえた。それにしても西新井と足立区のディープゾーンなんて、普通ラジオのネタにはならないところを取り上げるあたりがこの番組の魅力である。いつまで続くのかわからないコアな番組、聴くなら今しかないだろう。