ゆでガエルはゆだりながら日記

ゆだりきったら左様なら。

ゆでガエルはゆだりながら考える

こんにちは。

思いっきり更新の間隔があいてしまいましたが,単純に仕事が忙しくなってしまったためでして,恐縮です。

9月から多少忙しくなることは覚悟していたのですが,9月下旬ごろから,何とも申し上げられない理由で私の業務量と責任が倍増してしまいました。

(そうはいっても,かつての自分と比較すればまだまだ大したことはないんですけれど…)

もう少し余裕を持って生活するよう意識してのこのブログだったのですが,歯がゆい思いをしている次第であります。

 

さて今日の話題ですが,うちのシャチョーからこんな話を聞きました。

 

「日本はこのままだとつぶれる。」(①)

「人口が減少しているのに政府は何も手を打っていない。経済規模とは人口に比例するのだから,日本の経済は悪くなっていくばかりだ。移民を受け入れなければならない。アメリカは,ヒスパニック系の移民を受け入れているから経済規模が大きいのだ」(②)

「現在某国(東南アジアのとある国)の若者に語学研修を受けさせている。研修には日本の感覚で(「日本円で」ではありません)3000万円ほど。親戚縁者から借金して必死で勉強する。3カ月で日本語検定N5を取得し,日本で技能実習生として受け入れる予定である」(③)

 

 いつもなら「ふーん,そんなもんか」と分かったようなわからないような感覚でおしまいなのですが,なぜか(虫の居所がよくないのか)今回は「本当にそうなの?」とまともに反応してしまいました。

 

何が引っ掛かったか。

①について,確かに1000兆の借金をしょっている日本の財政がまともとは思いませんが,「いずれつぶれる」の話は昔からあって,しかしその誰もが「いつつぶれるか」を教えてくれません。立派な経済学者様も,今を時めく経営者様も,誰もです。他方で危機感をあおられて,いったい小市民は何をすればいいのか。まさか海外脱出せよとでも?

それに,「やばいやばい」という割には,法人税を上げて所得税を下げるとかいう発想は絶対に口にしないんですよね。消費税も上がるし。大体今時,日本脱出を図る企業がどれだけあるんでしょうか。タックスヘイヴンにお金を移すお金持ちはそれなりにいるようですが(カルロス・ゴーンとか)。

ちなみに私自身は経済学に明るくないのでMMTの是非についてはわかりません。

 

 ②人口と経済がリンクするのはなんとなくわかりますが,果たしてそこまで密接なリンクがあるのか。BRICSなんてもう死語になってしまいましたが,この5か国全部が安泰ですか(むしろ「帝国」としてのガヴァナンスの経験があるロシア・中国が生き残っていることに興味がある)。日本の戦後の経済成長も必ずしも人口の伸びとリンクしていないことは,この本でも指摘されています。それに肌感覚でいうと,労働人口の増加イコール経済の発展ということになるのなら,第二次ベビーブーマーが世に出た2000年ごろの「就職氷河期」はいったい何だったのでしょうか。むしろこのころフリーター等にならざるを得ず,40代になった今いよいよ行き詰ってきている状態(「自分でフリーターになったんだろ」的な言いようで説明できる問題ではないと思います。「氷河期世代」に対して国は何もしなかった,あるいは今更の感があるのはあちこちでいわれていることです)の人はたくさんいる。つまり「労働できる人口」はもっと多いはずですよね。

 

③海外から労働者を受け入れること自体に否定的な考えを持つわけではありませんが,結局のところそれが「資本主義の論理」における搾取であるとしたら,形を変えた奴隷労働ではないか,とも思ったりします。日本語検定N5で,いったいどんな仕事に就けるのでしょう技能実習生として,本当にスキルを身につけられるような仕事に就職することは可能なのか。日本を代表するタオル業界で起こったことは,まだ記憶に新しいと思います。

また,なぜこの話題が出てきたのか,というところにも考え方を巡らせると,少なくともこの論者の考えには「単純労働は外国人(でよい)」という発想があるような気もしてなりません。アメリカだろうがシンガポールだろうが,移民は最下層の労働者です。例を挙げれば,シンガポールには町中にたくさんごみ箱がありますが,分別という発想はありません。あれはつまり,回収した後のごみを仕分けている「仕事」をしている人たちがいるからで,もちろんシンガポール人はそんな仕事には就きません。

 もう一つ,このような技術集約型の仕事は,新興国ではまだまだ必要なものですが,すでに先進国となった国では情報集約型の労働力の育成が求められる。②の話にも重なりますが,アメリカの経済が強いのは移民がいるからではなく,GAFAをはじめとするプラットフォーマーがあるからでしょう。AIや移民に仕事を奪われるとか言っている以前に(単純労働の機会は間違いなく減っていくでしょう),やるべき人材育成の手立てはまだまだあると思います。

 

とかなんとかでもやもやしてきたのですが,一小市民が何を言ったところでどうにもならんので,勝手にふくれております。